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馬場 祐治; 下山 巖; 平尾 法恵
no journal, ,
酸化物(SiO, AlO)や層状酸化物(マイカ)などに吸着した放射性Csの化学結合状態を明らかにするため、Csの原子数に相当する超微量Csおよび他のアルカリ金属(Na, Rb)について、放射光を用いた全反射X線光電子分光(TR-XPS)測定を行った。TR-XPSにより1/1000層(1cmあたり約200BqのCsに相当)までの超微量CsのXPS測定が可能であった。XPSの内殻結合エネルギーシフトと吸着量の関係を調べた結果、超微量になるほどCsの内殻結合エネルギーは低エネルギー側に、Naは反対に高エネルギー側にシフトした。これらのXPS化学シフトを点電荷モデルで解析した結果、マイカに吸着したCsおよびNaは、超微量になるとイオン結合性が強い状態で吸着していることがわかった。
乙部 智仁
no journal, ,
パルス光の時間幅は20100eVのエネルギー領域で数十アト秒まで到達している。これは電子運動の時間領域であり、このようなパルスレーザーを使うことで物理量の時間平均値から時間に依存する値の観測が可能となっている。このような最先端のレーザーを利用した実験研究が進むに従い、理論面でも従来の手法だけでは不十分になってきている。我々は2008年頃から時間依存密度汎関数法(TDDFT)の基礎方程式である時間依存Kohn-Sham(TDKS)方程式を実時間法で解くことにより、レーザーと物質の相互作用の第一原理シミュレーションに取り組んできた。近年になって本手法による数値解析と実験の相補的成果が得られるようになり、アト秒科学及びアト秒領域での物性研究が進展している。本講演では高強度超短パルスレーザーによるこれまでの成果とともに、これから期待される発展について紹介したい。
平野 優; 木村 成伸*; 玉田 太郎
no journal, ,
哺乳類のミクロソームに存在するシトクロムb5は、様々な電子伝達パートナーとの間で電子伝達反応を行うことが知られている。本研究では、ブタ肝臓由来シトクロムb5のN末端側94残基のヘム結合領域について、2つの結晶化条件で酸化還元状態の計4種の結晶を作成し、X線結晶構造解析を実施した。回折実験はPF BL5AとBL17Aにおいて行い、4種の結晶全てについて1オングストローム分解能を超えるデータセットを取得した。高分解能構造解析の結果、いくつかのアミノ酸残基で水素原子の電子密度を観測することができた。原子間結合距離、角度の制約をはずした立体構造精密化を行った結果、ヘムのプロピオン酸基におけるプロトン化状態が、ヘムの酸化還元状態の調節に関わっている可能性が示唆された。また、ヘム鉄配位子の構造については、酸化還元状態間で有意な差を観測することはできなかったため、ヘム鉄配位子の構造変化は大きく制限されていることが明らかとなった。一方、ヘム鉄の軸配位子His68の周辺においては、水素結合ネットワークの構造変化が観測された。そのため、His68周辺の水素結合ネットワークの構造変化がヘムの酸化還元状態調節に関わっていると予想された。
羽島 良一
no journal, ,
10keVのHHGを発生するためのFELとして、波長12um、パルスエネルギー1mJ、サイクル数1.6を実現する装置の設計例を示し、これを実現するための加速器の構成、FEL光パルスのシミュレーション結果を紹介する。
羽島 良一; 藤原 守*
no journal, ,
電子ビームとFELパルスのコンプトン散乱によって、共振器型X線自由電子レーザー(XFELO)からGeV 線が発生できることを示す。XFELOにおけるコンプトン散乱では、電子の静止系におけるレーザー光子のエネルギーが電子の静止質量よりもはるかに大きくなる。このため、散乱光子のエネルギーは電子のエネルギーと等しくなり、エネルギースペクトルは狭帯域(約0.1% FWHM)となる。このような線ビームはハドロン物理の研究に有用なプローブとなる
梶本 亮一; 中村 充孝; 稲村 泰弘; 蒲沢 和也*; 池内 和彦*; 飯田 一樹*; 石角 元志*; 中島 健次; 河村 聖子; 中谷 健; et al.
no journal, ,
四季はJ-PARC・MLFに設置されている4台のチョッパー分光器の1つである。そのカバーするエネルギー領域と運動領域はそれぞれおよそ1010 meV, 10 10 でありMLFの非弾性中性子散乱装置がカバーするエネルギー・運動量領域の中でも中程の領域を占める。共用ビームラインの1台としてユーザー利用に供され、超伝導体, 磁性体, 誘電体, 触媒, 熱電材料等さまざまな物質の研究に用いられているが、性能および操作性・安全性のさらなる向上を目指して装置の高度化が続けられている。本発表では、新しい単色化チョッパーの導入、検出器増設、データ収集・解析環境の更新、分解能計算の試み等、最近四季で行われたアップデートの状況について報告する。
樹神 克明; 池田 一貴*; 武田 晃*; 礒部 正彦*; 伊藤 正行*; 上田 寛*; 社本 真一; 大友 季哉*
no journal, ,
CrOは394K以下で強磁性を示す半金属である。この系はルチル型の結晶構造をもち、ユニットセル中に含まれる2つのCrサイトは結晶学的に等価である。構造解析からは常磁性相から強磁性相に渡って結晶構造が変化しないことが報告されている。しかし強磁性状態におけるゼロ磁場中NMR測定からは価数が異なる、あるいは磁場中NMR測定からは3d電子の軌道占有状態が異なる2つのCrサイトが存在することが提案されている。これらの結果は通常の構造解析では1種類のCrサイトしかみえないが、局所的には2種類のCrサイトが存在することを示している。そこで我々はJ-PARCに設置されている高強度全散乱装置NOVAを用いて粉末中性子回折実験を行い、得られたデータから原子対相関関数(PDF)を導出して局所構造を調べた。強磁性状態で得られたPDFは2つの非等価なCrサイトを含む局所構造モデルでよく再現でき、このことからわずかではあるが局所的な構造歪みが存在し、2つの非等価なCrサイトが存在することを示唆する結果が得られた。
鬼柳 亮嗣; 大原 高志; 中尾 朗子*; 花島 隆泰*; 宗像 孝司*; 茂吉 武人*; 黒田 哲也*; 田村 格良; 及川 健一; 金子 耕士; et al.
no journal, ,
J-PARC・MLFのBL18に設置されたTOF-Laue型単結晶中性子回折装置SENJUは、2012年にビームを受け入れ始め、現在共用装置としてユーザー実験が行なわれている。本装置は、無機物や低分子性物質、磁性体等を主な対象とし、特殊環境下での精密な構造解析を目的として開発された。特に、MLFの特徴である大強度の中性子を利用した微小単結晶での測定や、広い逆空間の効率的な測定を行うことが可能である。主要な試料環境装置である4K冷凍機は低温で駆動可能な2軸ゴニオメータを持っており、冷凍機本体を動かすことなく、また試料を取り出すことなく、低温下で試料を回転し方位を変更することができる。最大7Tの磁場を発生することのできる超電導マグネットでは、磁気散乱の測定に重要となる低波数領域(長波長領域: 4.4 - 8.8)にマグネット由来となるブラッグ反射が存在せず、また希釈冷凍機との組み合わせにより約40mKまでの冷却も可能である。測定されたデータに対しては、独自に開発された解析ソフトウェアSTARGazerを用いて可視化、方位決定、積分強度計算を行い、得られる指数と構造因子から外部ソフトを用いて構造解析を行っている。
大原 高志; 花島 隆泰*; 宗像 孝司*; 茂吉 武人*; 鬼柳 亮嗣; 中尾 朗子*; 黒田 哲也*
no journal, ,
本研究では、SENJUにおいてin situ光照射下での構造解析を低温環境下で実現するためのクローズドサイクル冷凍機の開発を行った。この冷凍機ではキセノン光源からの光は真空フィードスルー付きライトガイドを通って真空槽内の試料に照射される。試料はピエゾ回転子によって2軸で回転できるため、構造解析に必要な回折点のほとんどを測定することが可能である。また、試料近傍のライトガイド先端部はスーパーインシュレーターで断熱し、ライトガイドを介した熱の流入を抑えた。試料位置の温度は光源OFFで8Kなのに対し、400nmのバンドパスフィルター付きでの光照射で11K、420nmのロングカットフィルター付きで18K、フィルターなしでの光照射で66Kとなった。
中村 充孝; 梶本 亮一; 稲村 泰弘; 青山 和弘; 神原 理*; 川上 一弘; 久保 直也; 蒲沢 和也*; 池内 和彦*; 飯田 一樹*; et al.
no journal, ,
J-PARC物質・生命科学実験施設のチョッパー型分光器四季では、2014年まで米国SNSから借用したフェルミチョッパーを使用していたが、このたび、スリット部の設計を見直した新しいフェルミチョッパーを製作し、2015年3月から運用を開始した。同一条件下で旧型のフェルミチョッパーと強度を比較すると、低エネルギー領域において数十倍にも及ぶ強度ゲインを達成することに成功した。本発表では、新型フェルミチョッパーの仕様や設計に関する詳細について報告する。
中島 健次; 河村 聖子; 菊地 龍弥; 川北 至信; 梶本 亮一; 中村 充孝; 青山 和弘; 神原 理*; 山内 康弘; 久保 直也
no journal, ,
J-PARC物質・生命科学実験施設に設置された冷中性子ディスクチョッパー型分光器AMATERASは、パルス整形チョッパーとJ-PARCの結合型減速材の高ピーク強度の組み合わせにより、大強度、高分解能を両立する非弾性・準弾性散乱装置であり、2009年の稼働開始以来これまで、装置の高度化を進めながら、磁性や液体、非晶質、生体物質内のダイナミクスから産業利用に至るまで広い研究分野での利用に供されてきている。最近の成果例と合わせて、これらAMATERASの近況を報告する。
下山 巖; 馬場 祐治
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カーボンアロイ材料の吸着脱硫材への応用が可能かどうかを確かめるため、NとPをイオンドーピングした高配向熱分解グラファイト(HOPG)上でのチオフェン吸着特性について調べた。また、照射損傷の影響を調べるためArイオンの室温照射と800Cアニーリングを行ったHOPGも作製し、これらの試料に対してチオフェンガスを飽和吸着させた。チオフェン吸着後XPS測定によりチオフェン被覆量を評価した。チオフェン吸着量とドーパント濃度から各試料のチオフェン吸着能を比較するとPドーピング試料はNドーピング試料の約20倍のチオフェン吸着能を示し、室温Pドーピング試料は高温Pドーピング試料の約10倍のチオフェン吸着能を示した。我々はP K端NEXAFSの偏光依存性解析により高温でのPドーピングは平面構造のPサイトを形成し、室温でのPドーピングは曲面構造のPサイトを形成することを明らかにしており、これらの結果は曲面構造Pサイトが形成された場合に高いチオフェン吸着特性を持つことを示している。これらの結果を分子軌道計算を用いた最小エネルギーパス解析結果と比較し、Pドーピングがチオフェン吸着特性を向上させることを確認した。
Harjo, S.; 川崎 卓郎; 相澤 一也; 柴田 曉伸*; 辻 伸泰*
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金属材料の加工熱処理制御プロセスをシミュレートするための新しいサンプル環境装置(thermec-mastor)は、文部科学省の構造材料元素戦略プロジェクト内で、京都大学とMLFのBL19(匠)研究グループ間の共同で開発し匠にインストールされた。本装置は、試験片を誘導加熱により加熱し、ガス注入によって冷却できるように設計されている。加熱と冷却の最高速度は約30K/sで、最高速度が100mm/sの圧縮変形を適用することが可能である。本装置の基本設計及び本装置を用いた鉄鋼材料の加工熱処理制御プロセス中のその場中性子回折実験について紹介する。
柴田 薫; 高橋 伸明*; 川北 至信; 松浦 直人*; 富永 大輝*; 山田 武*
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J-PARCセンター、物質・生命科学実験施設に設置され1。6eV以下の高エネルギー分解能を実現したSi結晶アナライザー背面反射TOF型高エネルギー分解能分光器DNAは、「広帯域に亘るeV分解の非弾性散乱測定のためパルス整形チョッパーの複数スリットを利用した同時多重入射バンドを用いる測定方法」及び「現在Si111反射結晶アナライザ結晶を設置して共用実験Qmax=1.93に供されているが更に高い運動量移行量Qmax=3.8までeV分解能で測定を可能にするため、Si3111反射結晶アナライザの開発・テスト・増設作業」の2点について開発を行い他施設の同型の分光器にない性能を発揮して新たな研究成果を上げることが期待される。
稲村 泰弘; 伊藤 崇芳*; 中谷 健; 鈴木 次郎*
no journal, ,
「空蝉」とは、J-PARC, MLFにおける非弾性散乱装置の装置制御・および解析環境として整備が始まったソフトウェアである。データ処理機能の面では、MLFが採用したデータ収集方式であるイベント記録方式をいち早く実用化し、非弾性散乱装置の解析環境として成果を上げてきた。一方、MLFにおけるイベント記録方式のシステムは多くの装置で共通化されているものの、装置ごとに様々な検出器が使用され、生み出されるデータも細部で異なっている。現在、「空蝉」のイベントデータ処理機能をそれぞれの検出器に合わせて拡張し、多くの装置への導入を進めている。しかしビームラインでの動作には問題が少ないものの、ユーザーの環境で動作させる場合の対応環境の少なさや、定期的なアップデートの配布手段やドキュメントが少ないなどいくつも問題を抱えているのも事実である。そこで本発表では、現在進めている「空蝉」のビームラインへの導入状況、WindowsやMacOS版の開発(Fig.1)や、新たな可視化など、高度化の状況と問題点を報告し、今後の展開について示す予定である。
中谷 健; 稲村 泰弘; 森山 健太郎
no journal, ,
J-PARC, MLFの標準実験装置制御ソフトウェアフレームワーク(IROHA2)は、機器の個別制御および監視を行うデバイス制御サーバー、装置構成や測定の管理および認証を行う装置管理サーバー、自動測定を行うシーケンス管理サーバー、装置全体を統括し状態監視を行う統合制御サーバー、といった機能ごとに分かれた複数のソフトウェアコンポーネントから構成されている。今年度IROHA2をいくつかの装置に導入し、実際の装置での運用を開始している。装置への導入にあたって新しいデバイス制御モジュールの開発も進み、現在50種類近いデバイスへの対応を実現しようとしている。また、平成27年度は高度化の一環としてユーザーインターフェースの改良や外部システム(MLF統合認証システム、MLF連携データベース)との情報連携も開始される予定である。本報告ではIROHA2の現状と高度化の状況について示す。
渡辺 真朗; 野尻 浩之*
no journal, ,
近年、中性子や放射光をプローブとした数10T以上の強磁場下で行う実験・研究への要望が増えてきている。強磁場装置を用いた中性子散乱実験は、例えば、磁場誘起超伝導体などにおける強磁場中磁気相関の研究やマルチフェロイック物質などの新しい凝縮系の研究などが挙げられる。J-PARC MLFでは、強磁場パルスマグネットシステムの開発をおこなっている。一般的に数10テスラ以上の強磁場装置は大規模になるが、開発する装置はMLFの既存のビームラインに対して設置可能な小型な装置でなければならない。そこで数ミリ秒程度磁場を発生させるパルスマグネットシステムを開発することとした。パルス磁場にすることで、強磁場を達成しつつエネルギー・パワーを抑えることで装置の小型化が可能である。30テスラを発生可能なパルスマグネットシステムを実現するためには、高電圧・大電流パルス電源および、強磁場に耐えられるコイルと試料スティックが必要である。本発表では、開発したコイルおよび小型・可搬型電源(2kV、8kA、パルス幅数ミリ秒)の通電試験結果と試料スティックの製作等について報告する。
奥 隆之; 酒井 健二; 廣井 孝介; 渡辺 真朗; 篠原 武尚; 相澤 一也; 加倉井 和久; 吉良 弘*; 林田 洋寿*; 桐山 幸治*; et al.
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パルス中性子散乱実験への応用を目的として、He中性子偏極フィルターの実用化研究を行っている。He中性子偏極フィルターは、広いエネルギー範囲の中性子に有効である他、発散度の大きな中性子ビームの偏極も可能であるなど、優れた特徴を兼ね備えている。これまでに我々は、Volume Holographic Grating(VHG)素子を用いて、スピン交換光ポンピング(SEOP)用の小型レーザー光学系を開発し、シンプルで使いやすいオンビームSEOP型He偏極フィルターシステムを構築した。そして、そのシステムを用いて、J-PARCのパルス中性子ビームを用いて、小角散乱装置や反射率計における偏極度解析実験、偏極中性子イメージング試験などを行ってきた。現在、このシステムの適用範囲を拡張するため、Heフィルターセルの短波長中性子対応やセルサイズの大型化、レーザー光学系他周辺技術の改良、施設整備などを進めている。学会では、開発の現状と今後の開発・整備計画について発表する予定である。
神長 輝一; 宇佐美 徳子*; 横谷 明徳
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本研究は、特定の細胞を狙い撃ちし、照射された細胞及びその周囲の非照射細胞に生じる細胞分裂の動態変化を明らかにすることを目的とする。Fucci化されたHeLa細胞を試料とし用い、KEK・PFのBL27Bのマイクロビームを特定細胞に照射しその後長時間のライブセル観察を試みた。このため、照射後の細胞をビームラインから外し、培養器を備えた別の顕微鏡システム(KEYENCE社製)にセットしてタイムラプス観察が行える実験システムを新たに構築した。照射細胞から非照射細胞への影響の伝搬は、いわゆるバイスタンダー効果として知られている。そこで、数十個のHeLa-Fucciのコロニー中心部に6060mのX線マイクロビームを照射し、72時間のタイムラプスイメージングを行った。その結果、非照射細胞でも細胞周期が大きく影響を受ける群と受けない群が観測され、照射したコロニーによってデータが大きく揺らぐことが分かった。この結果は、非照射細胞内には何らかのスイッチングメカニズムがあり、照射細胞からバイスタンダー信号を受け取ることで、このスイッチ機構がONになる場合にのみ周期遅延が生じる可能性を示唆している。